克哉誕生日SS〜克哉×克哉〜

今日は12月31日
今年も、実家にも帰らずに、一人部屋で過ごしている。
クリスマスの時はそんなに寂しく感じなかったのに、この年末は、やたら寂しさを感じている。
「はあ…」
買ってきたビールの缶もあけたもののほとんど、飲んだ形跡はなく、先ほどから、ため息ばかりついている。
「こんなことなら、実家に帰った方が良かったなあ…」
その時だった。
「ピーンポーン」
玄関のチャイムがなる。この時間に来客は珍しい。
急いで、玄関をあけると
「お…」
いきなり、俺?といおうとした時に、口を塞がれ、柘榴の香りに包まれながら、俺の意識は遠のいていった。
そして気がつくと…
周りは赤い壁の何度か見覚えのある景色の空間が広がっている。
「ここは…」
その先の言葉を言おうとしたとき
「クラブRへようこそ。」
Mr.Rがやってきた。「あ、お誕生日でしたね。おめでとうございます。佐伯さん」
と笑みを浮かべる。
「そうそう、今日は佐伯さんの為に、とても素敵なプレゼントを用意しました。」
それよりも、今の状況を説明してもらいたい。いきなり、もう一人の俺にキスされて気づいたら、見知らぬ場所で、もうなにがなんだかわからない。
「さっきから、一体何を考えているんだ?俺?」
もう一人の眼鏡の俺が姿を現す。
「何でも、良いから今何が起こっているか説明してくれ。」
俺にむかって救いを求めるように叫ぶも
「それよりも、お前の格好の心配をしたほうがいいんじゃないか…俺?」
何を言われているかよくわからないが、とりあえず目線を下に移す
「ん?」
さっきまできていたはずの服をきておらず全裸で立っていたのだ。あまりの恥ずかしさに、目をあわせられない。
「さっきの勢いはどうしたんだ?俺?まさか、すべてを知っている俺に全裸を見られて恥ずかしいのか?」
図星だった。でも、悔しいから言い返せない。
眼鏡の俺は、話をそのまま続ける。
「今日は何の日か知ってるか?」
と、問う。というか、今日は何の日かと聞くこと自体がわざとらしい。
「言わなくてもわかると思うが、お前と俺の誕生日だ。誕生日と言うことは、誕生日プレゼントを貰えると言うことだな。まあ、お前のひとりの夜を過ごしたくないという望みは叶えてやった。今度は、俺の望みを叶えてもらう番だ。」
だからここに俺をつれてきたのか?
俺と眼鏡の俺だけならここにこなくても良いはずだ。もうわけがわからない
「いい眺めだな。そうだな、まず、俺に奉仕してもらおうか?」
なんで俺が裸になって、しかも眼鏡の俺の言いなりにならなきゃならないんだ。
「なんで、俺の誕生日なのに、お前に奉仕しなきゃならないんだ?」
眼鏡の俺は、微笑して
「お前がどう思おうが関係がない。今日はお前の誕生日という名ばかりの俺がお前を好きにしていい日だ。さあ、舐めろ。おい、手伝ってやれ。」
Mr.Rは俺の腕をつかみ眼鏡の俺の前に突きつけた。
「おい、もっと舌を使え。俺がどう感じるか、わかるだろう?俺?」
何で俺が、眼鏡の俺に支配されなきゃならないんだ?
「もう、やだ!」
気づいたら、自分の部屋にいた。時計を確認すると、もう今年もあと一時間足らずだった。
「なあに、一人なのに大きな声を出しているんだ?俺?」
眼鏡の俺が立っていた。
「なんでお前がいるんだよ?まさか、俺に…奉仕…しろなんていうんじやないだろうな!」
眼鏡の俺は笑って
「いってほしいのか?俺は、せっかくの誕生日だし、お前と愛し合いたいと思ってきたんだが…」
と、俺をつかんでいきなり抱かれる。
「いきなりなにすんだよ!こんなところで…」
眼鏡の俺はそんなことお構いなしだ…鳴り響く除夜の鐘とともに、俺の声も鳴り響いた
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