結婚しようよ〜克哉×克哉〜


この前のことが嘘なのか本当なのか…

俺はもう一人の俺のことが好きなのか?

わからないまま時は過ぎていった。
目の前には、柘榴がある。不思議な気持ちのまま、口をつける。

「またあったな。俺。」
もう一人の俺が、そこには立っていた。

「この前の話だが…」
眼鏡の俺は、話をし始める。

「俺は、お前のものになるきはない」
きっぱりと言われ、次にでる言葉が見つからない。
眼鏡は続け
「俺は誰のものにもなる気がない。例え、お前であろうと。お前は俺であって俺でない。なんなら、試してみるか?」
と眼鏡の俺は、俺の一番感じるところに、手を持っていった。
「俺はお前の考えのすべてがわかるがお前はどうだ?」
何も返す言葉が無い。眼鏡の俺の事は知らないことが多すぎる。「なにも…わかんないよ…。でも、俺なのに俺でないお前が、誰かほかのものになることが耐えられないんだ…」
俺自身何を言っているかわからなかった。そして、もう一つ、頬を伝う涙…なんで、出てきてるのかわからない。
「お前のいいたいことは、わかった。ならば、お前が俺のものになれば良いだろ?そうすれば、お前だけを愛してやれるぞ…」
それでもいいと思った。
「うん。それでも、いい」
と、眼鏡の唇に誓いのキスをした。
何で、こんなことをしているか自分でもよくわからない。
「これで、お前は俺のものだ」
「結ばれたんだよね?もう、俺のそばから離れないよね?」
眼鏡の俺は頷いた。でも、これは、本当なのか?幻?
「夢だと思うなら、みんなの前でも、誓うか?お前が望なら。」
眼鏡の俺が、そこまで言うんだ…これは夢じゃない…
眼鏡の熱を感じなら、記憶が薄れていくのを感じた。
「佐伯くん」
と会社に行くなり、片桐さんに呼び止められる。人気のない場所まできて
「佐伯くん、ご結婚おめでとうございます。式には必ず出席しますからね」
とにこやかな笑顔で片桐さんはお祝いの言葉を言いその場を後にした。

本多や太一からもおめでとうメールが届いており、御堂さんからもパソコンにメールがあった。
しかし、結婚の相手さえ知らないし、日取りでさえ知らない。
自分の知らないところで何が起こっているかさっぱりわからなかった。

まさか、眼鏡の俺?と一瞬よぎったが、眼鏡の俺が、結婚式?まして男同士でするか?

と考えたら…結論は、考えなくてもわかっていた。俺だったらそんなことはしない。
悩んでいる間に当日の朝を迎えた。
朝起きてみると…まだ夢なのかもしれない、昨日は、飲みすぎたわけでもないのに、自宅とは違う見たこともない景色が広がっていた。
わけがわからないのでとりあえず自分の頬をつねってみる。
痛みがある夢じゃない。
「何ぶつぶつ言ってるんだ?」
目の前には眼鏡の俺が立っていた。しかも、白のタキシードを身につけている。
「これ、どういうことだよ!説明しろ」
と眼鏡に怒鳴ってみた。「ウェディングドレスのお前とても似合っているぞ。」
ウェディングドレス?自分の下半身に違和感を感じたのは、そのせいか…。いや、そんなことはどうでもいい。今の状況がしりたい。
「お前が俺に証明しろといっただろ?さあ、早くするんだ。時間がない。俺たちの結婚式が始まってしまう。
それと、何があっても、笑顔でいるんだぞ?良いな」と額に口づけをし、眼鏡の俺は、俺を軽々とお姫様抱っこした。
そして、式の会場へ行くと、片桐さんや本多、太一や御堂さんなどが俺たちを祝福している。
まるで俺たち二人とも男だと気づいていないようだ。
とりあえず、俺は、眼鏡の俺に言われたとおり笑顔を振りまいていた。
もう、ここまできたら何がなんだかわからない。
何が現実で何が夢なのか…わからないまま、時は過ぎていった。
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