土方×斉藤
夜の巡察も終わり、今日中に副長に報告したいことが、ある斎藤は、副長の部屋に続く廊下を音をたてずに、歩いていく。
そして、副長の部屋の前で、戸を叩く。
「斎藤か?こんな時間に何のようだ?」
と一言も、発していないのに、俺だということが、土方さんにはわかってしまう。
「失礼します。」
と戸をあけ、副長の部屋に入っていくといつものように、机に向かっていた。
「斎藤、夜の巡察ご苦労。で、何のようだ?」
一通り、要件を話し、
「失礼します。」
と、土方さんの部屋から出て行こうとすると、
「まて、斎藤。お前最近無理しちゃいねぇか?たまには、俺の部屋から見える桜でも見ながら、一杯どうだ?」
あまりに唐突な土方さんの誘いに、戸惑うも、俺は
「いただきます。」
と、杯の酒に口をつける。
土方さんから、このような誘いをいただけるなんて…副長の顔がまともに見えなかった…
そして、何杯かすすめられ、俺は数杯ではよわないのだが・・・副長の顔がゆがんで・・・いく
「さて、斉藤も酔いつぶれたことだし・・・」
と、土方は斉藤が寝ていることを確認し、素早く着物の帯を緩める
斉藤の肉体をみると、土方は
「傷があるじゃねーか」
斉藤が起きないように、傷口をなめていく。
「うっ」
斉藤が声を上げた。
「斉藤、どうした?」
斉藤が目を覚ましたようだった。自分の身なりが整っていないことに気づき
ほほを染めながら、襟元を隠す
「副長、俺は酔って何かしませんでしたか?」
土方は、何とかごまかそうとして
「いや、酔って苦しそうだったから、帯を緩めただけだ」
何事もなかったことに安堵した様子で斉藤は
「今日は、そうそうに酔いつぶれてしまい、副長の相手ができず申し訳ございません。
この、わびは近いうち必ず・・・いたします。」
と何とか身なりをただし、急いで去って行った。